現代中國報の発行者、郭均成氏を追う!

10月17日、財団法人東海学林の文化祭が明治神宮で行われた。ゲストに株式会社スズキの社長兼会長の鈴木修氏(以下、鈴木氏)、駐日中国大使館参事官孫美嬌氏、日中韓経済促進会理事長孔健氏などを迎え、大変な盛況をみせた。

そもそも財団法人東洋学林とは

一般には聞きなれないかもしれないが、財団法人東洋学林は文部科学省の認可を受けた「和」の思想・哲学を基本とする学術団体で、神道、仏教、道教、儒教等東洋学の勉強会などを開催している。ここで儒教講座の講師をつとめ、この文化祭の協賛である財団法人日中韓経済貿易促進協会の理事長が孔健さんだ。

同行のきっかけ

孔子第七十五代直系子孫である孔健さんはテレビメディアにも出演する有名文化人なので、ご存知の方も多いと思うが、彼が理事長を務める財団法人日中韓経済貿易促進協会は、現代中國報の発行者である郭均成さんも関わる協会である。また孔健さんは、「中国のことを日本語で知らせるチャイニーズドラゴンという新聞」を発行されていて、郭均成さんは、我々が扱うMISSION現代中國報の基となる「日本のことを中国語で知らせる現代中國報という新聞」の発行者であることからも孔健氏と郭均成氏は昵懇のようだ。

左から孔健氏、郭均成氏、鈴木修会長、中国大使館参事官孫美嬌氏
写真左から孔健氏、郭均成氏、鈴木修会長、中国大使館参事官孫美嬌氏

この孔健さんのお誘いを受けて我々MISSION現代中國報のスタッフも参加させていただいたのだ。

我々が会場へ進むと、先に入っていた郭さんの後ろ姿があった。前方には孔健さんの姿もあったので、ふたりにご挨拶して席につく。すると今度は郭さんが近づいてきて、「これ名古屋に行ってきた人のお土産だよ。今、もらったの」と、微笑んで、人形焼きみたいなものを差し出した。
本当に、よく気のつく人なのだ。

スズキ自動車の鈴木修会長の講演

来賓は株式会社スズキ自動車の鈴木修会長(兼 社長)だ。
若々しくやさしそうな風貌で、これは親しまれる方だなという印象だった。
「一寸先は闇だ!」
「3000億、3兆円・・・、これは大したことじゃないのだ!」といきなり、銀行マン出身らしい口調で数字を語り、講演会がスタートした。

「自動車は組み立てるもの、部品を一気にたくさん買うと大変だよね〜。
ガラス、タイヤ、ブリキなども自動車メーカーはつくっていないので、それらを買って来るんだよ。」
途中に仕入れコストのあまりかからない蕎麦屋の話などを折り込み、うらやましいな!とユニークな発言も織り交ぜながら、実にうまいトークですすんでいく。

「3兆円は、売り上げではなく取扱高だから、うちは中小企業だね!だから大国であるアメリカへは大手が行けばいいんだ。中小なら自分のところの庭であるアジアへ行くべき。」

予科練へ入隊し、戦地へ行ったという昭和5年生まれの鈴木氏は、昭和25年に二十歳になった。
その時の成人式で、村長は、20代の諸君に託すような訓示を行ったそうだ。
それ胸に鈴木氏は、戦後の復興に向けて24時間働いたという。その間、アメリカやヨーロッパから支援をいただいたが、そのお返しはアメリカやヨーロッパへ感謝をしつつ、アジアに返そうと思ったという。
スズキ自動車は、インドで120万台、その他、ミヤンマーやハンガリー、パキスタンなどで生産している。恩返しするならアジアだ!ということで、167カ国28の生産工場を保有している。

パキスタンの大統領と会談した時の話しで、スズキのロバという名言が生まれた。
パキスタンでは路上運搬にロバを使っているので糞による風土病があり、それを自動車にしたいと言われて、人力をそそいだ。だからロバに変わったスズキの自動車は、スズキのロバと言われているのだ。

しかしはじめの会談では日本の自動車のことはいくらしゃべっても全くわかってもらえなかったそうだ。
それは・・・、日本へパキスタンの決定権を持つ方が来たことなかったからだそうだ。
そこで、鈴木氏はフイルムをつくろうと思い立ち、日本に帰ってからマッカーサーのようなムービー作りに専念した。

パキスタンの幹部全員を呼んで実習した。

インドでは2000人の方に来日してもらい実習を行った。
「ものづくりは、心を通わせること」鈴木氏の思いが伝わってくる。
「もうかれこれ1万を超える方々に来てもらっているよ。」

「東日本大震災では総理までもが作業服を着ていたよね。そして東京の交通麻痺、これが外国人が帰ってしまった大きな原因をつくったと思う。」

アジアは、ここ10年で工場団地の形成が進んでいる。その数100万の規模で、入っているのはみんな日本企業だ。アジアの製造メーカーは大変なスピードで進出している。

「更なる売り上げアップへの取り組みは、振り向く1秒、歩く1分だ。」
工場内を整備して、身体の動きを少なくするほど、ひとつでも多くの部品が組み上げられる。これを計算して3000人が歩く1歩を節約すること。
「たとえば26千兆円で、・・・260万の売上だとすると、1台100万として、儲けは2万円程度だ。」
「自動車は2万件位の部品でできているから、1部品1円の儲けしかない。」

リーマンショックから生き残るためにとった鈴木氏の策は、外注コストダウンはせず、内部コストダウンで対応することだった。
要は鉛筆などの消耗品の無駄使いの削減で、1千億は削減できたという。
買いたいものは会長決済とし、仮払いしない仕組みの徹底。これが効いたようだ。

自社ブランドに対する自信と事業家としての真摯な姿勢、そこには戦後の堂々たるリーダーの姿があった。

さて、その場の郭さんは

前列から3番目くらいの席をとっていた郭さんは、ひたすらまじめに聴講していて、ああ、この人もくそ真面目なんだな〜!と思う。
しかし世の中にまじめな人は5万といる。まじめなだけでは在日のトップクラスという郭さんの現在の地位はない筈だ。
大使館参事官孫美嬌氏や孔健さんとの話があるらしく、我々に鈴木氏の書籍を「読んでみる?」と言って手渡すと、別れを行って去っていった。
果たして食えない男である。郭氏の動向は、これからもお伝えしていきますので、請う御期待いただきたい。

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