withコロナに挑む商い法
新型コロナが広がっていく中で、カミュの「ペスト」という本が話題になっていたが、私はこの新型コロナの緊急事態宣言が解除に向かう中で、学生時代に父と借りっこしながら読んだ西村寿行 著の「滅びの笛」を思い出していた。父と私との間では、私が中学生のころから、それぞれが読んだ本を回し読みすることが習慣になっており、恋愛小説も、本格推理も、我が家では良く本の感想が話題になっていた。
しかしこの本は・・・
南アルプスで発見された死体が死後十日間で白骨化していたことと、環境庁鳥獣保護課の沖田という主人公のもとに、中部山岳一帯での鳥獣の異常繁殖の調査報告が相次いだことをきっかけに展開するストーリー。
沖田が理学博士・右川を訪ね、百二十年に一度というクマザサの結実が、それを餌とする鼠の大量繁殖をもたらしているとの指摘を受け、官庁へ対策要請する。しかし官庁は耳を貸さずに、鼠が大量発生して人畜を襲い、死者も出る大惨事となる。
鼠たちは数を増やしながら東へ向かい、恐怖に駆られた暴徒によるレイプ、銀行襲撃がおこり、あたりには鼠に食われた死体が転がっていく。そこに精神を病んだ細菌兵器の研究学者がペストに罹病させたネズミを持ち出ししたことで、山梨から関東一体はペストの恐怖がさらなるパニックとして広がっていく。といった、大変、気味の悪いパニック小説だった。
ハラハラドキドキしながら、私は一気に読み進めていったのだが、暗い穴の中に入っていくような独特の暗さと恐怖を覚えた。と、今も覚えている。
その時の父の表情はいつもの感想を話す時と違うなと感じつつも、父も何とも言えない暗い恐怖を感じたのだろうと私は思っていた。しかし今思うと、違うのだ。
私は、今回の新型コロナで初めて感染症パンデミックを経験した。しかし父は、あの時、結核、チウス、赤痢といった感染症の昔話を私にしてくれた。その時の人々の様子を話して聞かせてくれた。昭和初期の戦前戦後の話だ。
町のパニックぶり、警官の厳しさ、また感染者が出た家の疎外感は、今とは比べ物にならない状態だっただろう。それを見ていた、まだ少年の父の目にはたまらないものが映ったのだろうと今ごろになって思った。
前置きが長くなったが・・・
そんな中でも人々は強靭に明るさを求め、強く生き抜いていった。また日本人には、そういったある思想文化に縛られていても、人を思いやる気持ちが根付いていて、小説の「滅びの笛」のような暴動はおきなかったようだ。みんなが、ある意味で、ある程度冷静な判断をしていたみたいだ。それにみんなが、清潔にしようという努力もしていたそうだ。
そう、今の状況と似ている。
これが国民性なのかもしれないとつくづく思う。
そんな中で、当時の人々が感染が収束するにつれ、起こしていった行動は・・・
- 大変な時は近隣と助け合う。みんなで分け合う。
- 家族を思う気持ちが強くなった
- 親は子供に教育を、手に職をと考えた
- 子は働いて親に楽をさせたいと考えた
- 甘いものや美味しいものを家族で食べたい、食べさせたいと考えた
・・・という話しです。
それが戦後の経済成長へとつながっていくんだから、すごいパワーと努力が必要だとは思うけれど、みんなの思いや、心理は、今に当てはまると思う。
情報系やAIは、真っ先に仕事を動かすために必要なアイテムとなるので、業界的には急ピッチで進むでしょう。また進めなくてはなりません。
しかし、それだけではなく、コロナで培った思いやりの心は、日本人が一番得意なところ。
これを生かして商売を転換すると結構面白いものが見えてきます。
要は、「痒いところに手が届く」的な発想
- 【通販など物販】美味しいものはお取り寄せ⇨各県・各名店の商品はお取り寄せコーナーで購入⇨今までは、現地に行かないと買えなかったものまで、どこまで集められるかがポイントになる
- 【飲食】個室・宅配・テイクアウト⇨デパ地下にはない、お店ならではの商品メニューが鍵
- 【オフィス】リモートワーク中心の三密にならない体制づくり⇨オフィスの縮小で経費削減
- 【物流・工場など】工業ロボットやAIの導入と三密にならない体制づくり
- 【百貨店など物販】短時間でお買い物ができる見本市(予約購入)的な体制づくり⇨キャッシュレス会計や、梱包待ち回避の宅配活用と宅配時での決済体制の導入
- 【学校】今後の世の中はリモート的なことができないとついていけない⇨リモート授業も含めた体制づくり、シールドやマスクの徹底
- 【宅配】個人的なニーズに応える宅配への変化⇨要は使いっ走りという言い方は非道徳ですが、そいうった体制が新たなビジネス価値を持つ
こんな感じで、「with新型コロナ」と考えはじめると、新しい企画が見えてきます。
私も、【個人的な宅配】などに関してアイディアがありますので、また後に記載していきます。
感染症がテーマの「ペスト」「滅びの笛」などの小説を読んで、人の動きを考察して現実と比較してみると、また新しいものが見えてきますね。